設立趣旨書
我が国では少子高齢化が進行し、平成23年10月の時点で、高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)が23.3%に達しており、今後(当面の間)総人口が減少するなかで、高齢化率は上昇を続けていく事が予測されています。
高齢者で介護が必要になる原因をみると、全体では、1位 脳卒中(脳血管疾患)、2位 老衰(高齢による衰弱)、3位 転倒・骨折の順になっています。その原因の内訳は、各年代によって多少の違いがあります。「転倒・骨折」が原因で介護が必要になるケースは加齢とともに増えていて、75~84歳では約10%なのに対して、85歳以上では約18%と、約2倍になることがわかっています。
寝たきり、介護のひとつの大きな原因である転倒・骨折は、高齢者自身の肉体的・精神的苦痛と、経済的負担をもたらすばかりでなく、その家族、地域社会、そして国家にとっても重い負担をきたす深刻な課題といえます。
寝たきりの原因となる骨折の大部分は大腿骨頸部骨折であり、その大腿骨頸部骨折の原因の8割以上が「転倒」と報告されています。(山崎薫, 串田一博ほか:骨折から寝たきりになる要因調査.Osteoporosis Jpn 1998;6:265-268.)(五十嵐三都男:老年者の大腿骨頸部骨折 ―2000骨折について―.日老医誌 1995;32:15-19.)
この課題に対して本会では、広く転倒予防運動の必要性と、その認識を高めていく運動と、転倒予防運動の開催及び転倒予防運動指導員の育成を行っていきます。
この運動を実施するにあたり、どんなに完璧に転倒予防対策を行ったとしても、人間ですから転んでしまうこともあります。ただ「転倒しないこと」が転倒予防の最終の目的ではありません。高齢者が転倒しないで「すこやかで心豊かに暮らせる」ことが一番大事な目標なのです。 転倒予防運動を通して高齢者の方々に自信と希望と夢を与える事ができるようにな組織・団体にしたいと考えております。
この活動は、高齢者の精神的・経済的負担を減らし、地域社会や国家の経済的負担を軽減することのできる公益的仕事につながります。よって転倒予防運動を継続的に実施していくために特定非営利活動法人の設立を決意いたしました。
将来的には、多くの地区センターやケアー施設及び各地の公園などで転倒予防運動が行われている風景が見られるように努力する所存です。
平成25年1月12日
法人の名称 特定非営利活動法人神奈川県転倒予防医学研究会
設立代表者 朝 香 好 平